2017年10月11日 (水) [氷川の杜(スタッフブログ)]
『百人一首』のお話し
みなさまこんにちは。今日も氷川会館オフィシャルブログにお付き合いをいただき、ありがとうございます。
10月とは思えないくらいの暑い日が続きますね。金曜日からは気温が一気に下がるようですので、みなさまご自愛ください。
さて、今日は「百人一首」のお話し。
百人一首は、鎌倉時代の歌人藤原定家によって編まれました。今から780年も昔のこと。
誰しも一度は百人一首を全部覚えよう!と思ったことがあるのではないでしょうか。私も中学生の頃には、祖母と一緒に(祖母は古典が好きでよく教えてもらいました)百人一首を覚えました。お正月には、親族一同で大座敷に下の句の札を並べて競い合ったり。祖母に勝てる人はいませんでしたが(笑)
この百人一首、実は秋を歌った歌がとても多いのだそうです。
春は6首、夏が4首、冬が6首の中で、秋はなんと16首もあるのです。百人一首のもとになった勅撰集にも秋を歌った歌が多いことが関係しているようですよ。
移りゆく秋は、歌人の心も、選者の心も打つ美しい季節だということでもあるのでしょう。
せっかくですから、秋の句をご紹介いたしましょう。
秋の田のかりほの庵のとまをあらみわがころもでは露に濡れつゝ(一番 天智天皇)
(訳)秋の田にある、刈り取った稲穂の番小屋にいると、目の荒い苫葺き屋根からしたたり落ちる夜露で、私の袖はずっと濡れどおしだ。
白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける(三十七番 文屋朝康)
(訳)草葉の白露に風が吹き付ける秋の野は、糸で貫きとめていない玉が乱れ散っているようだ。
さびしさに宿をたち出でてながむればいづくも同じ秋の夕暮れ(七十番 良暹法師)
(訳)あまりにも寂しいので、庵を出て辺りを眺めれば、どこも同じように寂しい秋の夕暮れだなぁ。
百人一首の代表的な歌人のひとり、柿本人麻呂。
氷川神社境内には柿本人麻呂神社があることをご存知ですか?直系のご子孫である、綾部市が戦国時代に川越に移住してきたことからお祀りされるようになりました。
毎年4月18日にはお祭りが執り行われますが、歌道の神様らしく歌が奉納されます。百人一首は歌の半数近くが「恋の歌」とのこと。こちらも興味深いですね。